年初来高値を更新したドル円。週初から開催されるECBフォーラムで更に高値を更新するか?
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◆エッセンシャルレビュー
先週のドル円は三角保ち合いを上にブレイクアウト。日足レベルの上昇トレンドが加速しました。先々週のパウエル議長のFOMCで発表されたドットチャートのタカ派スタンス、日銀が金融緩和継続を示唆した事を背景に、先週の上院議会で見せたパウエル議長のタカ派発言を大きな材料にドル円は150円を目指す押し目買いが中心となる週となりました。
▼先々週の考察の振り返り
〈先週の週報〉
◎先週のテクニカル視点予想 ➡︎ 週初めにまずは4時間足上昇波の利確売りを狙った逆張りショート。 その後は上位足上昇トレンドに沿って押し目買いを週末まで追う。
◎ファンダメンタル視点予想 ➡︎ 引き続きドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオと予想します。
結果 ➡︎ 的中!週初は要人たちの円安牽制発言や先々週のポジション調整によりドル円の下落が見られたものの、米国の強気のタカ派スタンスに投棄筋がロングを乗せました。円キャリートレードも再開した事でドル円は年初来高値を更新。
▼先週のトピックス
先週のドル円相場は、週初こそ伸びなかったものの、年初来高値を更新してきました。

週初から週中にかけてドル円は大きく伸びませんでした。
・アジア株式市場の冴えない動き(円買い要因)
・政府高官による円安牽制発言
鈴木財務相:「為替動向については日々注視している」「必要であれば適切に対応する」
西村経済産業相:「過度な変動・投機的な動きはしっかりと注視しなければならない」
・米金利の低下
これらが主な要因となり、ドル円は141.80円から141.21円まで下落しました。
しかしその後、日銀当局者たちのハト派発言を皮切りに為替相場を始め株式市場が持ち直し。
安達審議委員:「一番恐れているのは拙速な政策変更で再びデフレに陥ること」「円安修正のために金融政策使うと物価目標への道を阻害してしまう」
植田総裁:「経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していく」
米国時間も、ブラックアウト期間が開けた事で、連銀総裁たちのタカ派発言が目立ちます。
FRBクック理事:「インフレ率はまだ目標に戻っていない」
アトランタ連銀ボスティック総裁:「2024年の利下げは予想せず」
また先週は世界の主要中銀が利上げに踏み切りました。
スイス中銀:25bpの利上げ ノルウェー中銀:50bpの利上げ トルコ中銀:650bpの利上げ 英中銀:50bpの利上げ
特に英中銀の利上げのインパクトは大きく、金融緩和を継続している日本と他国との金利差が大幅に拡大しました。これにより円キャリートレードの活性が期待される一方で、パウエル議長がFOMC後に行われた上院銀行委員会で今後2回の利上げを強く示唆する発言をされました。
パウエル議長:「今年あと2回の利上げが適切となろう」
その他、経済指標も市場予想を上回る結果が発表されました。
・🇺🇸5月景気先行指数(結果:▲0.7% 予想:▲0.8%)
・🇺🇸5月中古住宅販売件数(結果:430万件 予想:425万件)
これらドル円上昇の材料が連発した結果、ドル円は年初来高値を更新。143.88円を記録しました。
高値記録後もドル円は大きく値を落とす事なく、小幅なレンジ相場を推移。143円後半を推移しながら週を終えました。