【週報】先週(6/6 - 6/10)の振り返りと今週(6/13 - 6/17)の戦略
読者の皆様、こんにちわ。
「YSの為替羅針盤」 では、世界のマーケットニュースを追いながら、為替(主にドル円)の動向を分かりやすく伝えております。
有料読者の方には、ドル円の詳しい情報やドル円の動向と要因、考察、ご質問等に極力リアルタイムで対応しております!
詳しくは下記の内容をご参考頂けますと幸いです。
今後とも、「YSの為替羅針盤」をよろしくお願い致します!
目次
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先週のドル円のポイント
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先週(6/6 - 6/10)の考察
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今週(6/13 - 6/17)の予想
◯先週のドル円のポイント◯
〇先週のドル円は、週初早々に130.43円まで下落するも、週中から週末にかけて上昇。週間高値は134.56円。
〇ドル円上昇の背景は、株価の堅調推移、黒田総裁による円安容認とも思われるハト派発言の連発、🇺🇸金利の上昇など。
〇欧州経済が不安定な中、ECB理事会のタカ派姿勢が鮮明化。欧州のスタグフレーション懸念再熱。ユーロはドルに再び流れ始める。
〇週後半、財務省・金融庁・日銀による3者合同の円安牽制声明。今週のドル円は下落傾向か!?
〇週末発表された🇺🇸CPIが予想外の前年比8.6%。インフレは頭打ちにあらず。
〇🇺🇸10年債利回りが3.17%へ急上昇。しかし短中期の再建利回りも上昇。逆イールドカーブが生成されようとしている。
〇今週はFOMCを控えている。0.5%の利上げは既に織り込み。🇺🇸経済指標がドル円動向の舵を握る。
◯先週(6/6 - 6/10)の考察◯
先週のドル円相場は、週初早々に130.43円まで下落するも、週中にかけて大きく上昇、9日の東京時間午前に週間高値134.56円を記録しました。

3日で約4円上昇するという脅威的な動きでした。この動きの背景を細かく見ていきましょう。
【週初〜週中】

ドル円は週初130.85円に寄り付いた後、じわじわ下がり出し、先週の安値130.43円を記録しました。
しかし黒田総裁の発言を皮切りに押し目買い圧力が一気に強まります。
・黒田総裁による3日間連続のハト派発言
「揺るぎない姿勢で金融緩和を継続していく」「金融引き締めを行う状況には全くない」
・日経平均株価の堅調推移
(リスク選好の円売り開始)

・直近の高値突破(5/9に記録した直近高値131.36)に伴う仕掛け的なドル買い・円売り
(通貨オプション市場による仕掛け買い)

・🇺🇸金利上昇に伴うドル買い圧力の上昇

・原油先物価格が再上昇
(本邦貿易赤字懸念が拡大する事による円売り圧力の上昇)

・🇦🇺中銀による50bpの大幅利上げ(6/7)
(日本と世界の金融政策格差が大きすぎる➡︎クロス円が上昇➡︎ドル円も連られて上昇)

・心理的節目を簡単に突破していく事によるパニック的な円売り
(心理的節目131.00、132.00、133.00、134.00を一気に突破)

・本邦輸入関連企業による実需のドル買い・円売り
(ドル円の底値支え)
これらの要因により、ドル円は9日の東京時間午前に週間高値134.56円を記録しました。
この数値は2002年2月以来であり、約20年4ヵ月ぶりの高値圏です。
【週中〜週末】

脅威的な上昇を見せるドル円でしたが、心理的節目135円をバックに週後半は伸び悩む展開を見せます。
9日からドル円は調整局面に突入していきます。
まず、ECB理事会を控えたポジション調整が要因となり、ドル円は下落します。
🇪🇺ECBによるタカ派スタンスが強調される➡︎欧州債利回りが急上昇➡︎ユーロショート解消され、ドルがユーロへ転換。
しかし🇪🇺ECB理事会の方針決定により、ドル円は134.40円前後まで値を戻します。(以下詳細)
・ユーロ圏第1四半期GDP改定値が良好
(結果5.4%、予想5.1%)
・ECB理事会の方針
(ECB理事会にて、資産購入プログラムを7/1をもって終了。次回7/21のECB理事会で25bpの利上げを発表。次々回9/8のECB理事会では更なる大幅利上げを示唆。
・ラガルドECB総裁のタカ派発言
「インフレリスクは主として上方向」「次回7/21理事会で主要金利を25bp引き上げる意向」「9月にも主要金利が再び引き上げられる可能性がある」
欧州のスタグフレーション懸念が燻る中、ECBがタカ派スタンスを強めた事で、欧州経済への下押し圧力が上昇し、欧州株が下落しました。これによりユーロが下落。通貨はドル需要に流れていきました。
ココアら再び上昇していくかと思いましたが、10日に日本の関係各所が、ドル円の急激な上昇にメスを入れた事でドル円は再び下落。一時133.37円まで値を下げます。
財務省・金融庁・日銀による3者合同会議において、円安牽制を企図した声明文が出される。「最近の為替市場では急速な円安の進行が見られ憂慮している」「各国通貨当局と緊密な意思疎通を図り必要な場合には適切な対応を取る」
注目された🇺🇸5月の消費者物価指数ですが、結果は市場予想を大幅に上回る結果(結果8.6%、予想8.3%、※前年同月比)となりました。
これにより🇺🇸長期金利が急上昇。🇺🇸10年債利回りは一時3.17%まで急上昇しました。
しかし反面、インフレピークアウト論が後退してしまい、アメリカ経済の先行懸念が強まりました。結果、ドル円は上昇したものの、勢いは緩やかなものでした。
◯今週(6/13 - 6/17)の予想◯
今週は🇯🇵🇺🇸の金融政策イベントが注目される週となります。
直近では、6/14 − 6/15の日程で開催される🇺🇸FOMCです。こちらについては、事前告知の通り50bpの利上げ実施が予定されています。
バランスシート圧縮についても、予定通り実施されると考察します。
(475億ドルの縮小方針を維持)
為替を動かす大きな要因は、経済見通しと9月以降の利上げ方針における当局者たちの姿勢ではないかと推測しています。
(経済見通しについては、🇺🇸スタグフレーション懸念が再び騒がれるか否か?)
(9月以降の利上げについては、当局者たちが継続の意思を貫けるのか否か?)
日本においては、6/16 - 17に🇯🇵日銀金融政策決定会合が行われます。先週10日に行われた財務省・金融庁・日銀による3者合同会議後の黒田総裁の発言は、世界中が注目する事でしょう。
来週も週を通してボラティリティの高い相場展開が予想されます。
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